「フランダースの犬」は犬の話ではない

子どもに見せたいアニメといったらやっぱり「ニルスのふしぎな旅」と
フランダースの犬」でしょう。
このたび、「フランダースの犬」がMXテレビで放送されていたので、
録画して見てみた。
びっくりするくらい悲しく、さびしい雰囲気だった。
主人公ネロは、愛犬パトラッシュと牛乳配達をしている。
病に伏せているおじいさんのために看病もする。
村人たちの飼う牛から絞った乳をアントワープの町まで売りにいくのだ。
そこへ、新しい隣人がやってくる。
その隣人はネロの住む村の人たちと交渉し、タダで牛乳を運ぶので、
野菜を町で売らせてもらえないかと言ってまわった。
ネロに配達代を払っていた村人のいくらかは
その隣人に仕事を与えてしまう。
ネロの仕事のいくらかは取られてしまった。
でも、心ある村人もいて、引き続きネロに仕事を発注する。
村人たちは話し合う。
「ネロの仕事を奪うなんてひどいじゃないか」
「いや、うちだって苦しいんだ、ネロには悪いが…」
意地悪でやってるわけではない。みんな苦しいのだ。
ネロの友達たちも、親に頼んでネロに仕事をつくらせようとする。
ネロはネロで、町まで行ったついでに仕事を探すが、
年端もいかない子どもを働かせてくれるところはなかった。
あるネロの友達が、父親に、引き続きネロに牛乳を配達してもらうよう
村人にお願いするよう頼む。
しかし、この父親は毅然としてこう言い放つ。
「彼(隣人)が野菜を売らせてもらう代わりに牛乳を運ぶといって
いるんだ。それは双方にとって利益になる。それがビジネスってものだ。
子どもは大人の話に口出しするもんじゃない!」
こんな難しい話だったのか、フランダースの犬って。
ぜんぜん犬の話じゃないじゃないか。
泣けるのは最終回だけじゃなく、この回だけでも何度となく
泣ける台詞を登場人物たちが口にする。
この年になってみると、あの父親の言うこともわかる気がするし、
子どもたちの言い分も、村人たちの気持ちもわかる。
こういう深いことを言うアニメで育ったのと、
プリキュアで育った子は、どんなふうに違いが出るのだろう。
ニルスのふしぎな旅」もまた見たくなった。