「アイラブユー」ではなく

口下手な日本人夫から日本人妻がいま最も聞きたい言葉は、
「ごめん」
「ありがとう」
「愛してるよ」
なんだそうだ。
このうち、「ごめん」「ありがとう」は修行のせいか、
自分なりにだんだん言えるようになってきたと思う。
「ありがとう」は簡単だったが、「ごめん」は最初のうちは
なかなか口に出せなかった。
でも「ここで人間力が試されているのだ!」と思うことで、
だんだんと言えるようになってきた。
だが、最後の難関、「愛してるよ」だけはいけない。
そんなことをシラフでいうぐらいなら
舌を噛み切って死んだほうがマシだ、という人もいる。
まだまだ修行が足りない。
ある人は「最初は心がともなわなくてもいい。
心はあとからついてきます」というが、そんなに簡単なものではない。
そもそも、英米人がいう「I love you」はあいさつみたいなもので、
妻だけでなく、子どもや親に対しても使う。
「愛している」はアイラブユーを無理やり日本語にしたものだと
私は思っているからなじまないのだと思う。
ある人は恋人にずっと「愛してるよ」といい続けたが、
最後には「わかった、わかった」と言われるようになったのだとか。
「愛してるよ」と言わないから愛がなくなるのか、
愛がないから「愛してるよ」が伝わらないのか、難しい問題だ。
この際、「愛している」に代わる言葉をつくってはどうか。
「好きだよ」は同じく舌を噛み切る人が続出すると思うので、
「大切だと思っている」というのはどうだろうか。
どうもしっくりこない。
ほかに照れくさくなく、普通に言えるよい言葉はないものだろうか。