「いらっしゃいまっほー」な店

自宅近くの駅で、カウンターのみのバーに友人と立ち寄った。
10席程度のこじんまりとした店だ。
この日は友人2人と合計3人で飲もうということだったのだが、
一人が仕事で到着が遅くなるということで、
すでに食事を済ませていた私ともう一人の友人で、
彼を待ちながら一杯やろうというわけだ。
入った瞬間、入ったことを後悔した。


「いらっしゃいまっほー」


メイドの格好をした、どうみても40がらみのおっさんが
マスターであった。
それにしても「いらっしゃいまっほー」って・・・。
「今は2010年だぞっ!」って思いながら席につく。
ノータックス、ノーチャージで、飲み物はほとんどが500円という。
奥の席には30代後半のおねえさんたちが3人、
手前には40前後のおにいさんたち2人が陣取っていた。
なかなか繁盛しているようだ。
店を手伝う若い女性がカウンター内に一人いて、
おしぼりを渡してくれたのだが、それに気づいたマスターが、
「もっかい、おしぼりやらせて」といい、
私たちの手元にあったおしぼりを奪い取り、
「いらっしゃいまほー。はじめまして、どうぞよろしく〜」とやる。
内心、「めんどくせ〜」と思ったが、笑顔で受け取った。
(ま、笑顔っていっても苦笑いのほうですけどね)
どうやらマスターは「そっち方面」の方らしく、
メイドの格好も彼の趣向らしい。
以前、この店は別の名の店だった。
しかし、他の客との話に聞き耳を立てていると、どうやら以前の店は
マスターが夜逃げして潰れたらしい。


それにしても、最近は電車の車内販売にも
メイドが登場していて驚く。
そもそもメイド喫茶なるものは、
「そういうのが好きな人が、そういう人がいる特定のところに
行って楽しむ」ものだった。
ところが、そういうのが好きな人ばかりが集まる場所ではない場所でも
メイドが増殖している。これを不快に感じる人もいるに違いない。


ともあれ、店としては明るい雰囲気だし、どうしたって1杯しか
飲めないのだから、またたまに行ってみてもいいかもしれない
と思ったりした。