雪、積もったよ

「雪、降るらしいよ」
大人たちも口の端から笑みがもれる。
そんな力が、東京に降る雪にはある。
北国にいけば別段珍しくもない雪も、東京で長く暮らす人々に
とってはめったにないイベントなのかもしれない。
1日の夜半から降りだした雪は、私が住む街ではほんの少し積もった。
雪が降っただけなのと、積もったのとでは全然意味が違う。
今回はちょっとだけど積もった。
積もらない雪は降らないほうがいいとさえ思う。
積もった雪は街の景色をいっぺんに変える。
2歳の娘などは魔法としか思えないだろう。



(公園で積もった雪と戯れる娘)


これだけしっかり降ったのは私が記憶している限りでは
2004年の大晦日以来だと思う。
あの日、珍しく東京で年越ししていたため、
年の瀬ぐらいは最後にぜいたくしようと、
すき焼きの材料を買うため車で家を出たのはいいが、
スリップを恐れた都市住民たちの安全運転のため、
普段の倍の時間かけて家に戻ってきた記憶がある。
朝、雪のため少し早く家を出ようと思ったが、
あまりの寒さのため(?)自転車がパンクしていたのに気づく。
やむなく徒歩で駅まで歩いた。
雪が溶けてしずくになって道路に落ちる音を聞きながら歩くと、
街路樹のクスノキから湯気が立っている。
たまにはこんな日もいいもんだ。