腑に落ちないこと

先日、テレビを見ていたら別々のチャンネルで
同じように亀の話題をやっておりました。


ある海岸ではウミガメの産卵を守るためにボランティアの人たちが
交代で見回りに出たり、浜に立ち入り禁止区域をつくるなどして
保護している様子を映していました。
一方、別の番組では千葉県のある地域にどうもうなカミツキガメ
繁殖しているということで、地元のバスターズの方々が
駆除している様子を映していました。
なんでもカミツキガメは凶暴で、アゴの力が強く、人間の指などは
簡単に食いちぎってしまうらしい。
外来種でもともと日本にはいなかったらしい。


どうも腑に落ちない。
ウミガメの保護の様子を見たら、カミツキガメはなんていうかな。
「そりゃないぜ」っていうと思う。
確かにカミツキガメは一見、おそろしい外見をしている。
ウミガメは産卵するときに涙みたいなものを流すし、
生まれた子ガメたちがいっせいに波打ち際に駆けていく様子は
ほほえましいものがある。
でもどっちも必死に生きようとする「意志」は同じだよね。
確かに指が食いちぎられる亀は危険かもしれない。
悪いのはそういう亀を売ったペットショップと
飼育を放棄した飼い主なのだけど、もっとどうにかならないか。


人間の情報取得は80%を視覚に依存している。
そのため、見た目がかわいいものを保護し、
おそろしいものを駆除しようとする。
そこにだいたい不衛生とか危険だと理由をつけて駆除する。
「目に見えないことが大事」というのは
そういう意味でもぼくが肝に銘じていることだ。
視覚に頼ると真実が見えなくなるからね。


たぶん、地球上の動植物は、毎日いくつかの新しい種ができ、
毎日いくつかの種は絶滅しているのだと思う。
この絶滅種が人為の影響によるものかは判断できない。
希少種の保護はそういう意味でとても複雑な問題だと思う。
トキやウミガメや、シロクマが絶滅の危機に瀕していると聞くと、
ついかわいそうになってしまい、保護したいと思う。
でもその一方である種のゴキブリの類が絶滅の危機に瀕している
かもしれないことを思うと、「人間の保護活動」はどうあるべきかと
考え込んでしまうのです。
ひとついえるのは、かわいいものだけを保護し、
かわいくないものだけを駆除するのだけは
やっぱり人間の身勝手なんじゃないか、ということだけ。
この件についてはもっとよく勉強する必要がありそうです。