メメント

こういう映画は初めて観ました。
通常、時系列に沿って物語は流れる。
過去→現在という具合だ。
だけど、この映画は現在→過去に向かって話が進む。
10分ぐらいの短いシーンがぶつ切りになっていて、
シーンごとに過去にさかのぼって行く。
回想シーンではなく、物語そのものが現在にはじまり過去に向かう。
その中で、物語に特に重要なシーンだけがモノクロシーンとなって
数分ごとに、10分ぐらいの短いシーンの間に挿入される。つまり、
本来の時系列でいうと、


過去シーン1→過去シーン2→過去シーン3
モノクロシーン1→モノクロシーン2→モノクロシーン3


という流れなのだが、


過去シーン3→モノクロシーン1→過去シーン2→
モノクロシーン2→過去シーン1→モノクロシーン3


という具合になる。複雑である。
で、主人公は妻を殺された青年で、彼の記憶は10分しかもたない。
10分しか記憶がもたない彼と同じように10分ごとにシーンが過去に
流れて行くので、起こったことの因果関係が徐々に明らかにされていく。
制作者サイドが、
「あなたたちは記憶力があるから、物語を理解できるでしょ?」
と挑発しているように感じた。
主人公が10分しか記憶が持たないというけど、
前のシーンがどんなだったか忘れている私のような視聴者は
彼と同じようなものなのかも。
主人公は記憶障害があるので、事実関係を写真にとり、メモに書き、
重要なことは耳無芳一よろしく体中にタトゥーを入れて行く。
彼は、記憶は確かではない、メモのほうが確かだというけど、
メモは書き替えられる可能性がある。
主人公は最終的に自分の存在意義のために
「妻殺し」の犯人を探すようになり、破滅に向かっていく。


この映画には大オチと小オチがあって、最初に小オチがあって、
件の流れで大オチに向かってストーリーは進む。
DVDには時系列順に並べられたモードがあるのだけど、
これで見てみると、大オチから始まり、小オチへと進む。
話的にはびっくりはなくなるけど、ちゃんと辻褄があっていて
驚かされる。こういうのを考えられる人の頭ン中を見てみたい。
とにかく、ものすごく頭の体操になった映画でした。