『ふしぎの植物学』

田中修先生の著書はこれまでにも読みましたが、
学者にも関わらず、わかりやすく書かれているので、
一般の読者である私でもたのしく読めました。
試験勉強の合間に読むにはうってつけの本です。
タイトルの通り、植物のふしぎな生態について書かれています。
人間にとっては不思議なように見えても、よくよく考えてみれば、
すごく理にかなっている生き方に思えます。
動植物にも「遊び」の部分がもしかしたらあるのかもしれませんが、
まだサイエンスはそこを理解するまでにはいたっておりません。
でも、繁殖と生殖という面においては、とても合理的で
植物がどうしてそういう動きをするのか必ず理由がある
ということがよくわかりました。
印象に残ったのは、自家不和合性のくだりです。
自家不和合性とは、自分の花粉を受粉しない性質のことです。
近親交配を避け、遺伝的に多様性のある個体を
つくるための性質です。このことに関連して21世紀ナシのことに
ついてもふれていました。
21世紀ナシは偶然できたおいしい梨の枝を接ぎ木して増えたもの
なんですってね。接ぎ木で殖やすと完全なコピーができる。
植物の世界ではクローンは簡単にできるわけですね。
(クローンは厳密にいえば、意味が違うのかもしれませんが)
将来的にこういう本が書けたらいいなあと思わせるような
本でした。とってもおもしろかったです。
たんに知識としてだけでなく、人間の生き方にも生かせるかも。
そういう可能性を探っていきたい。