『森林の破壊』

著者は女性の研究員なのですが、よく現場でヒアリングして
書いてあるなと思いました。
森林や林業の現状が書かれてありますが、
多くは縦割り行政の弊害について紙数が割かれています。
中でも驚いたのは林業にもさまざまな補助金
すでに山村に落ちているんだな、ということ。
著者は「補助金をどうやってもらおうか」と考えている地域より、
補助金なんて突っ返してやるという気概で地域振興に努めた地域が
成功しているといいます。
財務大臣まで勤めたある有名な政治家が、
「日本っていうのは、お上にちょうだいちょうだいっていう民族なんだ」
と語っていましたが、確かにそういう側面がありますね。
でも、補助金をいっさい出すなというのも暴論でしょう。
人々のやる気が出るような補助金の制度を確立するのは
並大抵のことではありませんからね。
本の森林と林業の問題点を把握するにはよい本だと思います。
森林関係の行政担当者は「こういう見方もあるんだな」という視点を
持つという意味で一読に値すると思います。