この世は砂上の楼閣

アメリカは本当に大丈夫か、と思う。
こういうめちゃくちゃな向かい風だからこそオバマ大統領の誕生も
ありえたんだなあと今さらながら思う。


アメリカの財政赤字が約1兆ドルという。
1ドル100円としても100兆円の赤字だ。
これは1年間の赤字額だ。
7月の時点で50兆円程度と予想されていたが、去年下半期の金融恐慌で
倍に膨らんだ。さらに増えると予想されている。
赤字が倍に膨らむっていうのはすごい。
基本的に収入で金利分を払えなくなったら破綻になるのだと思うけれど、
(元本が減らないから)日本もアメリカもとうにこの水準は超えている。
でもいまのところ大丈夫。
というのは、国というのは個人と違って死なないからだ。
永続的に存続することが前提になっているから、
まあオッケーじゃないの、ということになっている。
でも、財政の赤字というのは、その国が発行する国債でまかなっていて、
日本政府はほとんど日本国民に国債を買ってもらっているのだけど、
アメリカは中国や日本に買ってもらっている。
アメリカは中国や日本とは輸入超過、つまり輸出より輸入の方が多い。
つまり、借金をしてものを輸入している。
めちゃくちゃ簡単にいうと、「輸入した代金は国債でもっていてね」
ということをアメリカはやっているのだ。
で、輸入した商品はアメリカ人がローンで買う。
アメリカ人は日本人よりはるかに借金に対する抵抗感が低い。
アメリカは、借金でものを買って景気をよくしているわけだ。
そして、日本は、教科書で習ったように、原材料を輸入して商品を輸出する
加工貿易で富をなした国なので、アメリカにものをバンバン売って
儲けてきた。そのおかげで、国内も潤い、人々の給料が上がった。
その恩恵はまわりまわって、すべての日本人が受けている。
アメリカ人はローンで日本製品を買ってくれるおかげで、
日本人は高い給料をもらっている。
問題なのはここからで、サブプライム問題で住宅バブルがはじけたのと
同様に、アメリカの個人ローンもバブルがはじけるかもしれない
時限爆弾になっているということだ。
サブプライムローンは、低所得者に住宅ローンを組ませ、
金融機関はその債権を別の金融機関に売り、運用していた。
同じことが個人のローンでも行われている。
もともと自分で稼いだお金ではなく、返済する能力の乏しい人にも
お金は貸し出されている。
個人ローンがサブプライムと同じことになったら、そのときは
全世界を包み込む大津波が発生し、世界中の人々がその波にさらわれる
だろうと私は思っている。
でも、借金して上がった生活レベルは、そう簡単に下げられない。


ここまで考えてくると、私たちのこの豊かな生活は未来の誰かが
払うツケで成り立っている、非常に危うい世界だということに気づく。
砂上の楼閣、蜃気楼みたいなもので、
実態に乏しい虚構なのではなかろうかとさえ思えてくる。
誰しも自分の時代にツケを払わされたくはないですよね。
誰がツケを払うのか。
自分か。
子供か、孫か。
はたまたもっともっと先の世代か。
とりあえず、給付金は数年後の消費税アップでツケを払わされる
ことになりそうですが!