さびしいとき

出版業界のことを、他の人はどんなイメージで見ているのだろう。
私がよく言われるのは、
「ネクタイしめてるんだ?」
「徹夜ばっかりなんでしょ?」
が2大フレーズである。
どうやらライターというと、ジーパンにトレーナーのいでたちに
徹夜なんか当たり前というイメージなのだろう。
ライターをやって10年になるが、ジーパンで仕事に行ったことはないし、
徹夜なんかここ何年もしていない。
毎日、9〜12時間ぐらいしか仕事をしていない。
印税が会社に振り込まれ、収入となるわけだが、
みなさんはこの印税というシステムを
非常に儲かるものという大いなる誤解をしていらっしゃる(笑)
印税がもらえる職業はおいしい職業だと思われている。
しかし、それは一部の人気作家だけの話であって、
多くのライターは印税がもらえない。
印税生活するには、自分の名前で本を書き、
しかもそれが一定以上売れなければならないわけです。
にもかかわらず、「本を書いて一発当てようとしている」とか、
「二番煎じで稼ごうとしている」などという発言を見聞きすると、
どうにもさびしい思いがしますね。
「一発当てたい」と思わないではないですが、
それ以上に、つくったものを多くの人に受け入れてもらいたい思い
のほうが強いのです。
それに本を書くっていうのは、そんなに儲かることじゃないですよ。
フリーのライターさんの中には、赤字覚悟で本を書く人がいる。
本を出すことに社会的意義を感じているからでしょう。
儲けることだけを考えている人もいるかもしれませんが、
私が出会った出版人たちは、どこかで「この本を出してどんな意義が
あるか」ということを考えていますよ。
そういう気概があるからこそ、多くない稼ぎの中でも
仕事ができ、やりがいを感じられるのです。