帰路

いつのころか、仕事が終わって飲みにいき、
自宅の駅から自宅に帰る岐路でいつも泣けてくることがあった。
理由はないが何か涙が出てくる。
現実の厳しさが、酒でほろっとゆるんだのか、
すれ違う人に見られないように隠していた。
仕事は厳しくないが、現実はいつも厳しかった。
仕事を厳しくしないから、現実が厳しくなるのかわからなかった。
これでいいとは思えないのに、翌日から何も変えなかった。
具体的に何をすればいいかわからなかった。
思えば、あのころはどこか突き破る場所を探していたのかも。
最近はもうそんなことはない。
あったとしてもそれは違う涙なのだ。