赤ちゃんと老人

赤ん坊が生まれて、思うことはいろいろあるが、
やはり一番に思うのは、


なんと手のかかる存在か


ということ。
母乳を飲ませ、風呂に入れ、服を着替えさせてやり、
便の始末をしなければならない。自分ひとりでは何もできない。
要介護5みたいなもんである。
赤ん坊を介護しているともいえる。
自分もそうやって介護されてきたのだ。
人は赤ん坊のころに介護され、
子どもをつくるようになると、今後は介護する側にまわる。
次に、親など周りの人を介護するようになる。
そして、最後はやっぱり自分が介護されて死ぬ。
人は介護されて、介護して、介護して、介護される。
そういう人生のサイクルになっている。
うまくできている。
みんなが順番に、同じように介護する側とされる側になるのだ。


元医師で現在リハビリ体操を指導しておられる大田仁史先生は、
次のようなことをおっしゃっている。
赤ん坊は何もできないけれど、周囲の人を幸せにする。
そこには『存在の価値』がある。
それと同じように、周囲から早く死ねばいいと思われている
何もできない老人にも『存在の価値』というものがあると。


少子高齢化の社会の中で赤ん坊は大事にされ、老人は軽視される。
そういうことでいいのだろうか。
自分が再び介護される側に回るまで、どれも欠けないように
人生のサイクルを一通り経験しておきたいと思う。