善き人のためのソナタ

ドイツが東西に分かれていた時代、東ドイツでは権力者による
反体制的思想を持っているものには監視の目が向けられていた。
ヴィースラー大尉は上司に命じられ、
劇作家のゲオルク・ドライマンを盗聴する。
権力に理不尽に振り回されるドライマンと恋人の舞台女優の
生活に触れたヴィースラー大尉が感じたこととは・・・といった内容だ。
社会主義の世の中がどういうものかについてのお勉強になる映画だ。
同じ時代に赤狩りが行われたのと同じように、
反体制の者やそれの疑いのある者は徹底的に弾圧された。
監視や盗聴などなんでもあり。人権なんかない。
革命が起こっても人の性根がいきなり変わるわけではないから、
人々を権力に従わせるには強行手段しかありえなかった。
やはり社会主義には反人間的側面があり、非常に無理があったと
思わざるをえない。
そういう社会で人間らしさが失われていくのはしかたがないとしても
自分の社会的地位と照らし合わせて、人間らしさを発揮するということは
とても難しいことなのだと思う。
社会主義の社会に適合していくには、人間らしさを殺すことでもあった。
人が交通事故を起こすシーンで、あまりにも無反応だった体制側の人間
の様子にそれが見て取れた気がした。
こういう話は結構これからもたくさん出てくるのではないかな。
地味だけど、民主主義とか社会主義
もう一度考えてみるよい教材になった映画でした。