グランドホテル

グランドホテルに集まるさまざまな人々の思惑を
うまく絡ませながら一つの物語にした作品。
この作品の成功によって、後年「グランホテル形式」という
言葉ができたくらいの名作であると淀川長治氏が語っていた。
登場人物を少なくすればするほど、深く人物を描くことができるが、
多くなればなるほど描き方は薄くなる。
それを狙ったのがこの映画であるわけだ。
ぼくはこういう映画はけっこう好きな部類に入る。
主人公のご都合主義の映画が多い中、
「いや、あの人にだってあの人なりの人生があるだろう」と
脇役に感情移入してしまうこともしばしばだからだ。
そういう意味ではリアリティのある映画なのだけど、
エピソードがちょっと弱いんですよね。
もうちょっと山場がほしかったな。
特に大一番では「そりゃないだろう〜」っていう展開で
拍子抜けしてしまった。
リアルに見せればいいってもんじゃないけど、
ちょっとチープさが先にたってしまった感じ。
人物の絡ませ方とかは非常にうまくできていて、
それなりに楽しめる。
モノクロ映画が苦手な人もきっとすんなり入れるでしょう。