黒い歯ブラシ

いま黒い歯ブラシがありますね。
「歯磨き粉がなくても汚れが落ちる」なんてコピーが書かれている。
最近は「黒」人気が復活してるんですって。
衛生用品にも黒が登場している。
そういえば、昔、炭を研究して商品化している企業の
取材をしたことがありました。
そこでこんなことを聞いたことがあります。
絆創膏が登場したときは、薬が塗られている部分が黒かった
というのです。
で、白い絆創膏を出そうとしたところ、
「んな、白いもんなんか効くような気がせえへんやろ」
と、関西弁で語ったどうかは知らないが、とにかくそういう事情で
最初は却下された。
しかし、時代が変わって、西洋医学が入ってきて、
白衣を着た医師や看護婦が出てきたので、白は衛生的なイメージ
になったのではないかなとぼくは思う。
それで白い絆創膏もOKとなった。
で、今度はその炭の研究・販売をしている企業が
黒い絆創膏を出そうとすると、
「んな、黒いもんなんか不衛生で、売れるわけないやろ」
と、言われたというのである。
黒=悪になったのも、西洋式の葬式に喪服が着られるように
なってからだと考えられている。
色に持つイメージは時代とともに変わる。
イメージとはなんと頼りなく、はかないものなのか。
そんなものに振り回されながら、今日も生きている。