引越しというイベントが好き

久々に引越しを手伝った。
友人Fとそのきょうだい二人が引っ越すというので、友人と妹の分の
荷物を運び出し、新しい住居へ搬入するのである。
彼らは東京で、きょうだいだけで3人で住んでいた。
なかなか仲のよいきょうだいで、ぼく的にも仲良くしていたので、
よく知った人たちである。今度、その3兄弟がバラバラに暮らすという。
ぼくは引越しというイベントが好きなのだ。
理由は自分でもあまりよくわからない。
確かに体はしんどい。けれど、古い部屋が片付けられ、新しい部屋に
荷物が運び込まれるときは、心が沸き立つ思いがする。
心がざわわ、ざわわとする。
なぜか、人の引越しでもそうなのだ。


東京へ来て13年目。
初めて八王子に部屋を借りたときは、実家からものの数十分で自分の
荷物は運び出されていった。
4年後、自分ですべてを手配し、トラックをレンタルして
府中市に引っ越した。自分だけですべてをやり遂げたときは、
ずいぶんと大人になったなと思ったものだった。
そこで3年半を過ごし、また別の府中市のアパートへ。
このときは自分の車で何往復もして荷物を運び出し、
最後は洗濯機や冷蔵庫など、大きなものだけ友だち一人に
手伝ってもらって引越しを成し遂げた。
27歳の途中から30歳11か月まで約4年そのアパートに住んだ。
そして、いまのマンションへ。
このときも友だち二人が手伝ってくれた。
運び出すのは大変だったが、運び入れるのは男手が三人もあったので
アッという間だった。そのとき手伝ってくれた人たちを招いて
引越しパーティを開催したのがもう1年半も前のことなのだと
思うとちょっとびっくりしてしまう。
いつも引越し後のガランと部屋を見ると、それまでの思い出が
急によみがえってきて感慨深い気持ちになる。
同時に、新しい部屋、新しい街に希望は膨らむ。
他人の引越しを見ていると、自分のときのことを思い出して
なつかしく思う。いまの二人暮らしもいいが、一人暮らしもたのしかった。
今度、3人になり、この先、4人になるかもしれないけれど、
大勢で暮らすのも悪くないと思い始めている自分に驚く。


この先、ぼくが引っ越すのはあと1年後になるのだろうか、
それとも3年後、5年後になるのか、わからないけれど、
その日が来るのが待ち遠しい気がするのである。