ビンゴ史上初の快挙!

愛知県の宿では、露天風呂つきの客室に泊まったのだが、
だからというわけではないだろうが、平日ということも
あってか、どうも「ワケアリカップル」がいるようだった。
その宿で夕食後にロビーでビンゴ大会を開催するというのである。
私、こういうのは喜んで参加するタチです。
夕食を食べ終えた開始時間の午後8時にロビーに行ってみると、
一組しかおらん。
その一組がどう見ても「スナックのママと客」であった。
実際、中年男性が中年女性に向かってママと呼んでいたのである。
私たち夫婦と総勢4名でビンゴ「大会」が始まった。
景品は2つ。最初にビンゴした2人に景品が与えられる。
最初はなかなか穴が開かなかった私だが、
やっていくうちにどんどん開くようになり、
私のビンゴ史上でも最速ではないかというぐらいの
スピードであっさりビンゴとなった。
「景品は1番と2番があります」
とホテルの人がいう。
「おいっ!」って思った。
1位の人に一番いいものをくれよと思った。
どうせなら「大きな箱」と「小さな箱」にしてほしかった。
ここはストレートに1番を選択。
なにやら紙に包まれた長細い筒状のものだ。
「部屋に帰ってからあけてください」
というのだが、透けて商品名が書いてあるのが見える。
明らかに


MENTOS


って書いてある。
そう、あのみんなが青春時代に食べたメントスだ。
この時代にメントスが景品だ。
平成19年だぞ。21世紀だぞ。
そう言いたい思いをぐっとこらえ、
大人な私は、ホテルマンのために盛り上げ役に徹した。
2位を決めるまでビンゴは続く。
ママも、ママの客も、妻も誰もリーチしない。
リーチしてもビンゴしない。
15分ぐらいたった。
すると、3人ともリーチとなった。
「おい、頼むぞ」と思った。
ママか、ママの客にビンゴしてほしかった。
2つの景品をわれわれ夫婦がかっさらっていくのは
ちょっと忍びない。
私の悪い予感は的中した。妻の声が二組しかいないロビーにこだまする。


ビンゴッ!


妻がワケアリカップルより先にビンゴしてしまったのだ!
いやー、笑った笑った。
申し訳ないが、近年にないぐらい笑った。
こんなことになろうとはね。
おれたちが悪いんじゃない、ホテルのビンゴシステムが悪いんだい
といいたい。
「おいっ、空気読めよ〜」と妻に言ってちゃかしていると、
テルマンが「フフッ」って笑っているのが聞こえた。
ホテル側からしてみれば、こういうことは予想できた事態のはずだ。
彼らは知ってておもしろがっているのである。
景品2はなんだかよくわからない小さな猫の置物に
おみくじがついた土産ものだった。
う〜む、もうちょっとなんかなかったか。
これじゃあ2組しか集まらんよね。
なんか記念になるような、ボールペンとかね。
ハンカチとかね。そんなものがよかったなあ。
例のママさんは、
「ちょっとこれどういうこと〜。なに? あたしたち引き立て役?」
みたいなことを言っていた。
これにはまた笑った。
お忍びで来るからそういうことになるんだい!
私たちが受け取った景品ふたつがなんだったか
彼らは知る由もない。
景品が何だったから悶々としながら帰途につくに違いない。
帰りがけ、MENTOSを食べてみた。
甘酸っぱい青春の味がした。
なんつってね。