男たちの大和

「やまと」というと、若い人の場合は宇宙戦艦のほうをイメージする人が
多いかもしれません。人によっては居酒屋「やまと」かもしれません。
しかし、これは実在した戦艦の話であります。
太平洋戦争末期、世界最大、最新鋭の戦艦がつくられた。
それが「戦艦・大和」でありました。
「期待してなかったら、案外おもしろかった」映画の典型でした。
子どもを戦地に送り出すシーン。
子どもの戦死を聞かされるシーン。
人が死んでいくシーン。
これらすべてがリアルでした。
もうそりゃあ泣くよって感じのストーリーです。
日本人らしい、人を思いやる心が描かれていて、
決して戦争を美化しているわけではないけれど、
そういうのがなんか美しいわけです。
中村獅童さんを見ていると、「硫黄島からの手紙」とどうしても
ダブってしまう。
「貴様、それでも軍人かぁ!」とか、「なにおぅ!」というセリフを
聞いていると、「硫黄島〜」の軍人と一緒じゃねーかと思うのですが、
ちょっとやりすぎなんじゃないのと思わせるぐらい
熱のこもった演技でした。
やっぱ歌舞伎の世界で仕込まれた人は違うですね。
ちょっと気になったのは、大和に乗り込む人たちが
もう最初から負けを覚悟のような悲壮感たっぷりだったこと。
大本営発表のため、状況が不利なのを知らされてなかったのは国民だけで、
現場の人は末端に至るまで、状況をわかっていたんですね。
死にに行くとわかっているから、いっそうつらいという
ことなのだと思います。
こういう映画はどんどんつくるべきだと思いました。