閉じこもっていてはいけない理由

「そんなわけあるかい!」と「もしかしたら、そうかもね」の
間をいくような話をしましょう。
人間、絶対に部屋に閉じこもっていてはいけないという話です。
そもそも人間は閉じこもるようにできていないんです。
練炭やガス給湯器、あるいは密閉された車庫でエンジンをかけっぱなしで
うっかり眠ってしまったために、一酸化炭素中毒で亡くなるニュースを
ときどき耳にします。
人間は危険なものに対して臭いや色で判別できるように
五感が進化してきました。動物はみんなそうです。
犬は身を守るために嗅覚が発達したのだし、だからこそ顔のパーツでは
一番前面に鼻が出てます。真っ先に危険を察知するためです。
人間にとって一酸化炭素は無味無臭です。
一酸化炭素が本当に危険物質なら、気づくように人間のほうで進化し、
一酸化炭素に色がついて見え、刺激臭がするはずです。
でもそうならなかった。
なぜなら密閉された空間に閉じこもるということを想定してないからです。
だから、一酸化炭素に対する防御装置が発達しなかったんです。
日本は湿度が高いため、建築物は正倉院の校倉造のように
木の伸縮性を生かした様式になっていました。
ところが、高気密高断熱のマンション住宅が登場するようになり、
件の事故が起こるようになったわけです。
隙間風が吹く昔の伝統的な日本家屋ではありえなかったことです。
人類がこれほど密閉された空間で生活するようになったのは、
ここ数十年のことに過ぎません。
内から何重にも鍵をかけて閉じこもるように人間はできていないのです。
それだけでも家に閉じこもっていてはいけない理由になるのでは
ないでしょうか。
やや強引ですが、こういうことを考えても損にはなりません。