環境問題の「常識」のウソ

「新しくつくるよりもリサイクル品のほうが
多くのエネルギーを使っているんだよね」
誰かからふと言われたこの言葉がずっと引っかかっていた。
そこで、本屋さんで見つけた本のタイトルが目に飛び込んできた。
環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(武田邦彦著 洋泉社
この本の中では、日本でつくられるペットボトルは、日本が輸入した
石油の1000分の1、つまり0.1%に過ぎないことや、
回収されたペットボトルのほとんどがリサイクルに回されて
いないこと、リサイクルペットボトルをつくるさいには
新しくペットボトルをつくるより多くのエネルギーが消費されて
いることが書かれてある。
ごみ袋の有料化がニュースで報じられるが、これをつくる原料は
昔は捨てていたもので、環境問題の大勢には影響ないのだという。
このことを聞いて思い出したのは、「マイ箸運動」だ。
いっとき、割り箸が環境破壊につながるとして、自分の箸を持ち歩く
ことが推奨された時期があった。ところがあとになって、
伐採した木材の主要な部分は家具などに使われ、余ってかつては
捨てられていた木で割り箸がつくられていたことが知られるところ
となり、「マイ箸運動」は行われなくなった。
また、新しい紙よりも再生紙のほうが高価であることはよく知られている。
コストが多くかかるからだ。ということは、エネルギーも多く使用されて
いると考えるのが自然だろう。
こういう話を聞かされると、何が本当で何がうそなのかわからなく
なってくる。
何も考えず、環境問題を知った気になっていた自分を省みて、私は
恥ずかしくなりました。流行のように「環境のために何かやっている」と
思っていた自分を反省させられました。
じゃあ、どうしたらいいか。
そこでやっぱり、キーワードになるのは、
「持続可能」ということになるのでしょう。
リサイクルするのか、二酸化炭素を出さないようにするのかは、
持続可能を目的とすることで結論付けられそうな気がする。
環境問題は、「やった気になる」ではダメで、
結果が大事だと著者の武田教授は言う。
もちろん、武田教授の説にも異論を唱える人はいるが、
このことだけは間違いなく言えることである。