アメリカ旅行⑥ 女神とステーキ

アメリ旅行記は1月4日から8回に渡って書きます。


現地の9日は、一日観光の日である。
朝、地下鉄でdowntownへ。センチュリー21という日本のドン・キホーテのような
ディスカウントショップで軽く買い物をし、グラウンドゼロに行った。
現在は新しいビルの建設中で完成には数年かかるらしい。
事件当時の写真がパネルになってフェンスに飾られてある。
見ているとかなりつらくなってくる。
誰も知り合いが死んだわけではないのに、涙が出そうになってくる。
想像を絶する地獄絵図となったのだろうと想像してみるけれど、それもうまくいかない。
この周辺がウォール街で、また高層ビルが立ち並ぶ世界最大の金融街だ。
そこから歩いていける距離に、自由の女神の島に行けるフェリー乗り場がある。
かなり長い時間待ってようやくフェリーに乗った(ここでもセキュリティチェックを受ける)。
フェリーに乗って、自由の女神が目前に近づいてくると、
目の前にいた白人男性が目をぬぐっている。
彼らにとって「自由の女神」に会えた――まさに「会えた」という感覚なのだと思うが
――ということは、特別な意味があるようなのだ。
自分たちがこそが王権の支配から逃れて自由を得、平等な国をつくってきたのだ
という自負がある。自由と民主主義の象徴である女神は彼らにとって特別な存在なのだ
ということを、私は彼の涙で理解した。
一方、われわれ外国人にとっては、ただの観光名所のひとつでしかない。
フランスから友好のしるしとして送られたことや、お台場の自由の女神のことを
考えながら、その大きさに感嘆するだけである。
彼女の近くに行くと見上げるのに首が痛くなるので、時間がなければフェリーから
眺めるだけでも十分たのしめるかもしれない。
以前は357もの階段を上れば、女神の王冠のところにある展望台に登れたらしいが、
いまは老朽化のため、台座のところまでしか登れなくなっている。
フェリーの本数が少なく、昼食のためにチャイナタウンについたころには三時に
なっていた。そのチャイナタウンで入った飲食店の店員の愛想のないこと。
やる気ゼロであった。
その後、またメトロに乗ってメトロポリタン美術館に。
行ったのだが、時刻は4時。閉館まで1時間しかない。
ということで、諦めて今度はセントラルパーク内を散策。
そして、また5番街を歩く。
ティファニーで父親の還暦祝いにボールペンを買った。
最後はグランド・セントラル駅内にある「マイケル・ジョーダンのステーキハウス」
で最後の晩餐をすることにした。
アメリカに来たらステーキを食べなくてはなんねえべ、というのと、グランドセントラル
駅構内にあるというのに惹かれた。
この駅がまたすばらしい建築様式と空間デザインなんですね。
専門的なことはわからないけれど、「いいなあ」というのは感じる。
そのグランド・セントラルのロビーを見下ろしながらのディナーはなかなかだった。
サラダとステーキをシェアすることにして、一品ずつ注文した。
終始ビビリながらだったけど、味はおいしかった。
この旅の中で最も印象に残る味だった。