硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙 movie

鳴り物入りで宣伝されている映画、観てきました。
地上戦が行われた小笠原諸島硫黄島での話だ。
映画『アダプテーション』で脚本家の主人公が
仕事で悩んだとき、誰かがいう。
「全部を詰め込もうとせず、何かひとつだけ書くんだ。
あとは削ればいいんだ」
これはすごくいいヒントだと思いますね。
テーマをひとつと決め、それを重点的に描く。
そうでないと、二時間やそこらでは必ず消化不良を起こしてしまう。
そのことがすごくよくわかったのが、この映画だった。
太平洋戦争の話だから、日本軍が内部でうまくまとまっていなかった
話や、プライドばかりで現実を見られない軍人がいるとか、
さまざまな話が見えてくるんだけど、
言っていることはひとつ。
日本人もアメリカ人も、現場で戦う軍人は好きで戦争をしたわけ
ではなかったよね? ということではなかったか。
日本人が手紙に託す内容も、アメリカ人のそれと同じだった。
どんなに夫や息子や、父親が大事かということだ。
同じ思いを共有しているのに殺しあわなければならない
虚無感がとても伝わってくる映画だった。
誰しも戦争なんかしたくない。
でも、「ここで戦わなければ、この先もっと多くの人が死ぬんだ」
という大義名分のもとに戦争ははじまる。
誰しも人は殺したくないが、現場に指令を出す人は自分が直接手を
下すわけではないから、指示が出せる。
現場は、「命令されたから」ということで自分を納得させて手を
下すことができる。
分業になっているから、感情が入り込む隙間がない。
けれど、映画を観てもわかるように、当然、当時の人にも細やかな
感情の起伏があった。当たり前だけど、新鮮だった。
二宮氏演じる西郷のような人物もいたのだろう。
今度はアメリカ側の視点で撮られた映画『父親たちの星条旗』を
観てみることにする。