『バットマン ビギンズ』

一言でいうと、「なんだかよくわかんなかったっす」。
バットマンって、アメリカンコミックの代表格で、勧善懲悪の象徴の
ようなお話だと思っていた。
けれど、悪いやつもそれなりに世界のことを考えていて、
方法論が違うだけ、みたいな話になってるのね。
これは最近のハリウッドに見られる傾向です。
たぶん9・11の影響でしょう。
いまちょうど価値観が揺れている時期で、「善と悪ってそんな簡単に
割り切れるもんじゃないでしょう」ということを、
この映画でも言いたかったんでしょう。
昔は、映画ではバンバン人殺してもよかったわけだけど、
いまそういうことやると、「うすっぺら」みたいなことを言われる。
だから、変に哲学を盛り込もうとする。
今回のバットマンは「人は殺さない」みたいなことをいう。
暴力というものを肯定するのかしないのか。
悪(といっても善から見た悪だけど)は死んで当然、というのを
肯定するのかしないのか。
そこで、主人公も葛藤するわけだけど、はたして
みんなはバットマンにそれを期待するかっていうことが、
この映画の評価の分かれるところだと思います。
はっきりいうと、バットマンにそれを背負わせるのは
酷というものですよ。かわいそうですよ。
変に哲学を盛り込もうとするから、わけわかんなくなっている。
この状況を脱するには、二つ方法がある。
ひとつは、初心に戻ってあからさまな勧善懲悪でいくこと。
もうひとつは、バットマンシリーズをもうつくらないこと。
そういうわけで、続編も観てみたいと思います。