通勤に2時間かかった。
プラス1時間である。
東京西部を走る京王線という私鉄を使っている。
この日は朝5時過ぎに起きた人身事故の影響で運転見合わせ、
ダイヤ乱れが続いた。
9時前にぼくが乗った電車も徐行運転でなかなか進まず。
あとで調べたところによると、前夜から行方不明になっていた
60代の女性が線路内に立ち入ったとのこと。
自殺とみて調べているらしい。
午前5時台のことだから、おそらく始発のはじまるのを
夜中じっと待っていたのだろう。
以前、使っていたJR中央線でもよく人身事故があった。
春先や月曜日が多かった。
JRで中央線の運転手と知り合いになり、聞いてみたことがあった。
彼はこれまでに三度人身事故に(運転手として)遭い、
一度遺体の処理にあたったという。
急ブレーキをしても安全に停止できない状況のときは、
人が線路内に立ち入っても急ブレーキをかけないことになっている。
車内の安全は鉄道会社の責任になる。
自殺の場合、鉄道会社は被害者といっていいだろう。
そのさい、鉄道会社は振替輸送などで多くの経費がかかる。
遺族に多額の請求がなされることはよく知られている。
そういうことを知っていても人身事故はあとを絶たない。
「迷惑がかかる」などと考えられる人なら、そもそも自殺なんかしない。
これで2週連続の人身事故だ。
自殺者は年間3万人以上、「いのちの電話」への相談件数は
年間で4万件以上である。
自殺者の多い東尋坊(福井県)の電話ボックスには誰かに電話できる
ようにと10円玉が積まれている。
同様に多くの遺体が見つかる山梨県富士山ふもとの樹海では
警官に保護される自殺者が年間に何人も出る。
彼ら彼女らは話をするだけで、自殺を思いとどまるという。
誰でもいいから、話をする、つながりを持つことで
救われる命があるということだ。