ためしがないッ!

「晴れているとこのように見えます」
展望台と称される高台のビュースポットには
必ずこのように添え書きがしてあり、「運悪く」天気の悪かった日に
きてしまったおっちょこちょいさんを慰めてくれるように
なっている。
まあ、いろんなところに行きましたね。
姫路城、彦根城犬山城松本城といった名城はもちろんのこと、
納沙布岬などの岬の灯台、東京タワー、名古屋タワー、京都タワー(!)
などの観光名所にあるタワーにも軒並みのぼった。
こういうところに行って、まず普通に
見られたためしがないッ!
「運がいいときは富士山が見えます」などと
書かれているときは悔しさが倍増する。
普通の景色も見られないことが多いというのに、
「運がいいときは」バージョンの景色は
見られたためしがないッ!
だいたいやね(おっと、悔しさのあまり竹村健一氏のようになってしまった)
「晴れているとこのように見えます」的なお節介は
金輪際やめていただきたい。
たのしく観光しているのに、「運がいいときは」とは何事か。
じゃあなにかい、
おれが観光してるときは必ず運が悪いときってことかい。
だからか、みやげ物屋のおばちゃんに人気があるのは。
ともかく、「運がいいときは」だけでもやめてもらいたい。
「〝当たり〟がついているから買ったわけではないアイスバー
食べ終えて〝はずれ〟を発見したとき」ぐらいの虚無感がある。
高台のビュースポットにはこう書いておけばいい。
「普通はほとんどかすんで何も見えません」と。
そしたら、ちょっとだけでも○×山だとかが見えたら、
人々はもろ手をあげて狂喜乱舞する。
そしてこう続ける。
「たぶん、こんな景色になってると思います」と、晴れた日の
景色の写真を並べておけばよい。
当然、見られると思っているから落胆する。
ならば、そもそも景色なぞ見られないのだという感覚を
うえつけておくのだ。
「だったら、そんなところに展望台をつくるな」って?
それをいっちゃあおしまいですよ。