海から多くのものを学ぶ

自宅の最寄り駅ではホームレスしか販売員になれない、
BIG ISSUE」という雑誌(200円)を売っている。
ジョニー・デップさんの表紙がカッコいい。
思わずおじさんに一声かける。
「売れ行きはどうですか?」
「朝の10時から立ってて(午後3時半時点)これで三冊目」
とのこと。
抜けた歯の間からもれてくる「どうも、ありがとうございます」
を聞いて、さっそく中を開いてみる。
ライターの視点から見ても、値段の割には結構充実してます。
その中で目にとまった記事がありました。
女優の高樹沙耶さんの話です。
彼女はレポーターの取材で訪れた海外で、
イルカと「運命的な」出会いをします。
イルカに魅せられた彼女は、自分の生活を徐々に海に近づけていく。
女優業を調整し、ハワイに拠点を移す。
同時にフリーダイビングという競技を始める(いわば素潜り)。
厳しいトレーニングの結果、53メートルまで潜れるようになった。
これは日本最高、世界でも4位の記録だという。
4分半も息を止めていられるというのだからすごい。
ダイビングをやっている人はわかると思うが、水深が10メートルと
20メートルでは体にかかってくるプレッシャーがぜんぜん違う。
ぼくもダイビングをやるから、その凄さがよくわかる。
彼女はただ海に潜っているわけではない。
自分の生き方をも「海から学んでいる」というのだ。
モノに依存する生活を見直し、自然な生き方を志向するようになった。
女性ならではの視点があっておもしろい。
「男性は女性を喜ばせようと思って、ブランド品をプレゼントしようと
仕事をがんばる。でも、女性がブランド品ではなく、おいしい水が
飲みたい、おいしい空気が吸いたいと思ったら、それに向かって
男性ががんばると思う。そうすれば社会が変わると思う」
という意味のことを語っている。
まったくその通りだと思う。
彼女は、海に潜って学んだことを自分の人生にも投影している。
恵まれた女優という地位を捨ててもいいと、生き方を変えていく
行動力はすばらしい。本当に魅力的な女性というのは
こういう人のことをいうのでしょう。
今後も「BIG ISSUE」とともに、高樹さんに注目していきます。