「トム・ソーヤーの冒険」を読む

トム・ソーヤーの冒険 book

友人I氏が以前、おもしろいと勧めてくれたので読んでみる。
活字より「世界名作劇場」のアニメのほうを多くの人が
親しんでいる作品でしょう。
実はこれ、大人向けに書いたものではないか
という説があります。
著者のマーク・トウェインもそのようなことを
まえがきの部分に書いています。
「確かにこれは大人向きだ!」と実感したのは
トムが手練手管を使って、塀のペンキ塗りを友だちに
させようとする下りの後半部分にあった。
トムは友だちたちに〝喜んで〟ペンキ塗りをさせることに成功する。


*ここでトムは、自分では意識しなかったが、人間の行為について、
 一大法則を発見したのだ――それは、大人でも子どもでも、
 あるものをほしがらせようと思ったら、それを容易に手に入れにくい
 と思わせさえすればいい、ということだ。


勘のいい人ならトムがどうやって友だちにペンキ塗りをさせたか
想像できるだろう。
この話は、「仕事」や「遊び」をどのように考えるかの
とても重要な示唆になっている。
一見、「仕事」のように見える作業でも、それがめったにできない
ものであり、楽しみを伴うものであれば、人はそれを楽しんで行い、
苦痛を伴う「仕事」として認識しなくなることを示している。
マーク・トウェインは言う。
「イギリスには多くのお金を費やして4頭立ての馬車で
何マイルも移動する金持ちがいるが、それは金持ちの特権として
やっているのであって、これがお金をもらって
やらなければならないものになれば、人は即刻こんなことは
しなくなるだろう」
「仕事」が「遊び」になれば、みんな喜んで仕事をする。
その方法を発明したいものですが、一つ言えるのは
「その作業の中に〝たのしみ〟を見つけること」
ぐらいでしょうか。
大人こそぜひ「トム・ソーヤー」を読んでください。