映画『グッドナイト&グッドラック』を観る

グッドナイト&グッドラック movie

本作をエンターテイメントとしておもしろいかというと、
ぼくはおもしろいとは思えなかった。
でも、いろいろな発見があり、考えさせる箇所があったという
意味ではおもしろかった。
この映画はアメリカにおける戦後の赤狩りをテーマにしている。
他にも自由、アメリ憲法、人権問題、報道の自由
報道する側とされる側の問題、スポンサーの問題など
多くのテーマがある。
ジョージ・クルーニー監督の映画なんだけど、もっともっと主人公
マローの人物像に迫ってほしかったな。
でも、熱い男たちの仕事ぶりが伝わってきてすがすがしい気にさせる。
感銘を受けたのは「絶対に客観的な報道などない」ということ。
客観というのは神の視点みたいなもので、血の通った人が取材する
限り客観というものはありえない。
また、誰もがおかしいと思いながら、自分の保身を考えているのに、
この映画の中の男たち(一部女たち)は自分が信じることに
全力を注いでいることにも共感した。
この「自分が信じること」というのが大切だ。
それがアメリカ人にとっては「自由」であり、「アメリ憲法」なのだ
と思うが、そうしたものに忠実であることは並大抵のことではない。
いや、わき目もふらず一直線にそれができる人などいない。
誰も迷い、葛藤し、それでも自分の弱さと闘っている。
ぼくらは、自分と同じ弱い人間が自分に勝っていく過程を映画の主人公
に見出し、だからこそ身近に感じ、感動するのではないか。
そういう意味では「報道しようかどうしようか」という主人公・マロー
の葛藤がもっと描かれているとよかった。
ご覧になった方、よろしければ感想をお聞かせ下さい。