映画『おばあちゃんの家』

movie「おばあちゃんの家」

故郷のことを思うのも、休日ごとに山に出かけるのも、
都会のさびしさを埋める自分なりの方法なのかもしれない
と思う。


ぼくは「おばあちゃん子」というわけではないが、今はまだ両親に
対してよりおばあちゃんを大事にしないと、という思いのほうが強い。
そういう人はおろか、おばあちゃん子はこの映画を
懐かしく観ると思う。
母親の都合で、7歳の少年は母の故郷であるおばあちゃんの家に
一時期預けられることになる。
最初は母親と離れ離れになるさびしさから、おばあちゃんに辛くあたる
少年だったが、いつしか祖母の深い愛情に触れ……という映画だ。
家のつくりや風景がぼくの祖母の家に通ずるところがあって、
懐かしい思いがした。
山の中に住む人たちの、素朴だけど心の通ったやりとりや、
助け合いの気持ちはどんな時代の、どんな世代の人にも通じる。


7歳ぐらいの年頃って、照れとか意地をはりたい生意気の盛りだから
おばあちゃんのことはあんまり好きじゃないんですよね。
小うるさい母親が1人増えたみたいな感じでね。
でも、年をとると自分のほうがおばあちゃんの心配をするように
なるんですよね。それを成長と言うんでしょう。
同じように、映画では優しいおばあちゃんに甘えっきりで、
やりたい放題やっていた少年だけど、途中からおばあちゃんを
心配したり、欲しいモノを我慢するようになったりする。
おばあちゃんの愛情は甘やかしともとれるけど、いつまでも甘えて
ばかりではないところに、この少年の成長があった。


「めちゃくちゃよかった」などと先入観を持たせるような
ことは書きたくないので、ただ「見てほしい」と言っておきましょう。
こういう映画を、懐かしいなあと深く心を動かされながら観ている
自分に気づいて、ふと故郷の親や祖母を思った映画だった。