観光地はある程度人が多いほうが。

あれって、なぜなんでしょうね。
観光地や行楽地に行って、「すげー人の数! 来るんじゃなかったー」
って言うけど、逆にエラく閑散とした状況だと、
「あらら、おれたちこんなとこ来て大丈夫か」ってなる。
人が多いのがいいのか、少ないのがいいのか。
どっちなんだって思う。
ちょうどいいのはどれぐらいの混みようなのか。
たとえば、ディズニーランドなんか、春秋の土日だと10万人を超える
人たちがやってくるわけでしょう。
そこを、30万人が来たとしたらどうでしょうか。
たぶん、人酔いしてしまうし、乗り物にも数時間待たねばならず、
途中でイヤになって帰りたくなるだろう。
逆にディズニーランドに8人しか客がいなかったらどうだろう。
ミッキーの家に行くと、ミッキーがお茶を出してくれるのだ。
生来がネズミなだけに、お茶菓子としてチーズを出されてしまうのだ。
それはそれで人によってはうれしいかもしれないが、
こっちが恐縮してしまいそうだ。
このように考えると、観光地や行楽地では、並ぶこと自体が
楽しみを増幅させる一つのファクターになっている
ことがよくわかる。
人ごみを掻き分けていくからたのしいのだということになる。
結局、人は、他人が自分と同じことをしているほうが
安心できるのだということになる。
ラーメン屋に並ぶ人も、並びたいから並んでいるんですね。
あれはラーメンが食べたいのではない、
並びたいんです(そんなわけないか)。
電車を待つ列なんか、明らかにそうですよね。
ホームにはだいたい「ここから並べ」というのが地面に書いてある。
その場所じゃないところに立っていると、
後ろに人が並び出すことがある。
「いやいや、ぼくはそういう意味で立ってるんじゃないのに……」
って思ってどうにも収拾がつかなくなってくる。
試しに内容は度外視して、「並ぶ」ところに観光に行ってみる
といいかもしれない。「並ぶ」ことを最重要視するのだ。
その列は長ければ長いほどよい。
きっとたのしいに違いない。