デリカシー 

「昔の彼女に言われて一番傷ついた言葉は?」
と聞かれて、二人の女性から
「デリカシーがない」
と言われたことだと答えた。
デリカシーとは、「大辞泉」にはこう書いてある。
「感情、心配りなどの繊細さ。微妙さ」
つまり、私が言われたのは、
感情の繊細さがない、
心配りの繊細さがない、
微妙さがない――ということのようです。
「デリカシーに欠けている」じゃないんです。
「デリカシーがない」なんです。
ナッシングですよ。
皆無って言っているわけです、彼女らは。
周囲の人は「二人からそう言われたということは、
それが間違っていない、あるいは一理あると
いうことだ」と言われた。
仕事をするにあたって、IQは高くないが、EQは高いと
思ってやってきた。人の感情の機微をとらえた文章を書く
ことが自分の売りだと思ってやってきた。
自分が得意としてやってきたことを
「それが欠けてるよ」と言われたときの衝撃は
はかりしれないものがあった。
全否定に近いものがあった。
ショックを受けたということは、
当たってるからでもあるんですよね。
どっかで分別のない自分というか、無配慮な性格を
わかっていたんですよね。
彼女らに言われたときは、それはもう深く深く傷ついた
のだけど、今そうして言われてみて、改めて深く深く傷つくと
ともに、自分の言動を振り返り、「ああ、自分は確かに繊細さ
がないなあ」と深く深く反省した。
細かいことにこだわらないから、ぼくが気づかないところで
他人を深く深く傷つけていることもあったかもしれない。
今後はもうちょっと深く深く心配りのできる人物になる。
とりあえず、何からはじめるか。
とりあえず、人前で放屁しないことからはじめるか。