つくるということは素晴らしい 

昨日、我が社に高校生がやってきた。
社長の高校の後輩たち。後輩って言っても30年以上下だけど。
修学旅行でやってきたのだけど、職業について学ぶのが
主旨であるらしい。
この出版業界というのは、ものすごく古い業界なのだけど、
いまどこもしんどい。厳しい。つらい。
儲かってしょうがないという話はどこからも聞こえてこない。
出版社も、編集プロダクションも、デザイン事務所も
フリーランスの方々も、おしなべてジリ貧である。
そんなこんなで一通り、出版業界について説明したあと、
小説を書くのが好きだという、女生徒が一人いて、
高校生のいま、何をすべきかと問われた。
「たくさん本を読み、たくさん文章を書き、
いろいろなところに行き、いろいろなモノを見、
いろいろな人と出会い、いろいろな話を聞くことだ」
と答えた。
量を書けば技術は誰でも身につく。この点において、先天的な
才能というものはないと考える。
だが、技術はあっても、何をどのように書くかという、より深い
意味での技術は、いくら書いても量だけではまかなえない。
そこで生きてくるのが、
「いろいろなところに行き、いろいろなモノを見、
いろいろな人と出会い、いろいろな話を聞くことだ」
と思っている。これを経験という。
経験することで、自分の感性が磨かれ、人として磨かれ、
人が読んでおもしろいものが何なのか
わかるようになるような気がしている。
やりたいって思う人がいたら、ぜひ出版業界で一緒にやりましょう。
ただし、甘い考えはいっさい捨てた上で、です。
出版業界はおもしろい人がたくさんいます。
状況が厳しいからといって仕事をしている人が暗いかというと、
決してそんなことはない。生き生きしている人もたくさんいる。
年に6、7冊つくりますけど、毎回、新製品を立ち上げているんです。
こんな職業がほかにありますか。
最初から最後まで自分の手でつくれるんです。
何をつくったっていいんです。何やったっていいんです。
つくるということは素晴らしい。
そんなことを高校生たちに言ってて、
自分で再確認させられたのでした。