仕事をしていてよく思うのは、人間の行動には
何かしら過去の枷(かせ)があるのだということだ。
枷とは、手かせ足かせの「かせ」だ。
漫画『タッチ』でいくと、上杉兄弟が甲子園に行きたい
というのが枷だ。
冬のソナタ』でいくと、幸せになりたいというのが枷。
宇宙戦艦ヤマト』では、イスカンダルに行って、
放射能除去装置を地球に持って帰ること。
銀河鉄道999』ではアンドロメダに行って、
機械の体を手に入れること。
これらの枷が登場人物を苦しめたり、悩ませたり、
狂喜乱舞させたりする。
このように人々は、枷にとらわれることによって、
自分の行動を構築していく。
これらの枷は、言ってしまえば、欲望に他ならない。
人間としての欲望をかなえたい、そのために苦悩し、歓喜する。
枷が生まれるまでには、人生の中でなにかきっかけが存在する。
『タッチ』では朝倉南女史が、「私を甲子園に連れて行って!」と
おねだりすることが上杉兄弟の枷のきっかけになっている。
物語の主人公たちだけでなく、私たちは日常の行動を構築するのに
枷にとらわれている。
この枷を、自分の過去の人生に照らしてみれば、どうしてこの枷が
生まれたかがわかる。
「なんで自分はこういう人間になったか」ということは、
必ずそれまでの人生に何かしらのきっかけがある。
それを見つけることができれば、行き詰ったときに
泥沼から這い出す術が見つかるのではないか。
私はそろそろそれを見つけられそうな気がしている。