電車の女子高生 

今日、電車に乗っていると、一人の女子高生が
座っている私の前に立ち、つり革につかまった。
ふと見ると、足から血を流している。
どこかで転んだのか、擦り傷から結構な量の血が
流れている。
それに気づいて数秒だっただろうか、私から見て
ふたりぶん右側に座っていた初老の男性がすっと立ち、
「さあさ、ここに座りなさい」といって、その女子高生を
座らせたのだった。
そればかりではない。
向かいに座っていた妙齢の女性が、その女子高生に
歩み寄り、「これ使って」と言って、絆創膏を差し出した。
恥ずかしかった。
本当は席を譲られるべき年齢の人に席を譲らせ、
自分は知らぬ顔で座っていた。
どうしてここに座って、と言えなかったのだろう。
何もしないということを、いつも嫌悪してきたのに、
やっぱり自分は何もしていない。
ああしたい、こうしたい。
そう思うことは毎日だ。
だが、お前は何かやったか。
口だけではなく、何かやったか。
何回、自問自答したことか。
明日から、自分ができることを、すべきだと思うことを、
ちょっとはできるようにする。