帰る人たち

師走も29日になると、駅にはたくさんの荷物を抱えた人が現れる。
ゴロゴロと引くやつとか、大きなリュックサックを背負って
いる人もいる。
若い人もいれば、そうでもない人もいる。
女の人もいれば、男の人もいる。
そういう人を見かけると、想像してみたくなる。
彼らはこれからどこに向かおうとしているのだろうか。
田舎はどこかな。仙台かな。石川かな、それとも山口かな。
彼はいつから東京に出てきたのだろう。
高校を卒業して大学に入るときか、それとも
高校を出てすぐに東京で就職したのかな。
それとも30歳になってからだろうか。
田舎に帰ると誰が待っているのだろうか。
両親だろうか、それとも兄弟だろうか。
いや、それともどこかへ遊びにいくだけなのだろうか。
友達のところに居候しにいくのだろうか。
金の無心に行くのだろうか。
どれくらいの時間とお金をかけて、どんな駅で降り、
出迎える人のどんな笑顔で、彼らも一緒に微笑むのだろう。