ばっかり食べ

わたしらが小学生のころの給食といえば、いろいろ思い出はあるが、
先生に「三角食べ」を推奨されたというのがある。
つまり、ご飯、おかず、汁物といったふうに、
順にバランスよく食べなさいということだ。
ところが最近、「ばっかり食べ」という食べ方が子どもに
増えたとかで、ちょっとした社会現象になっているというのだ。
「ばっかり食べ」とはすなわち、おかずならおかず、ごはんならごはんを
食べ続け、それぞれを完食してから次のものを食べるという食べ方だ。
日本の食事というものは、食材が少なかったころから
何品も食卓に並んでいたもので、それをバランスよく順に食べる
という文化であった。
ところが、洋食文化の家が増えてきたらしく、
コース料理を食べるように、それぞれの皿をやっつけてしまう
人たちが出現するようになってしまった。
わたしは悲しい。
そういう日本の文化が理解されないのはさびしい。
ばっかり食べをする子どもたちは口の中で味が混ざるのが
嫌だというのだ。
そんなやつは、カツ丼のおいしさを知らずに死んでいきなさい。
そんなやつは、ピビンバのチャレンジ精神を知らずに死んでいきなさい。
寿司はネタと酢飯を分離独立させて食べるという。
そういうやつは、自然災害が起こって昆布のおにぎりが配られたとき、
「味がまざるのがヤダ」と言って死んでいきなさい。
ばっかり食べをする子は大きくなれない。量が食べられないからだ。
同じものを食べ続けると、味に飽きてしまい、量が減るのだ。
途中で味を変えることによって、舌を一度リセットすることで、
次の味が新鮮に感じられ、量をたくさん食べることができるのだ。
逆にダイエットをしたい人は、ばっかり食べを
すればいいということになる。