真夜中の人生相談

午前0時。ケータイの着メロにしている『主よ人の望みの喜びよ』
が静かになりはじめた。
大学時代の友人からの電話だ。
来年の春に結婚式を挙げようとしている彼は、一通り世間話をしたあと、
仕事のことや親やきょうだいのことについて、語りはじめた。
家庭は複雑ではないのだが、状況がちょっと複雑で、ようするに彼は
家族やきょうだい、仕事、彼女とのことについて考えなければいけない
ことが多すぎ、少々混乱しているようだった。
すべてのことが絡みあって、どうしていいかわからないようだった。
いつもそれほど饒舌ではない彼の口から、自分の置かれている現状、
彼女への思いがとめどなく語られた。ドミノが倒れるように、
ダムが決壊したように、次から次へと言葉があふれ出してきた。
感情の迸るさまとはこういうことをいうのかもしれない。
真夜中の人生相談は終わった。
1時間30分もの長電話だった。
うまい言葉を言ってあげられたかどうか知らない。
ただ、話を聞くことはできた。
ついでにぼくの人生相談にもちょっと乗ってもらった。
一緒に悩んで、一緒に憤りを感じてくれた。
うまい言葉はなかった。
うまい言葉なんていらない。ただ、聴いてくれただけで。
結婚と仕事と、これからの生活と。先は長い、彼もぼくも。
ともかく、がんばれよ、もうちょっとだよ。