晴耕雨読、行雲流水の暮らしなり、旅をしてみたいと
思ったことが誰にでも一度や二度はあるのではないだろうか。
ぼくは国内をふらりと一人旅することがあるが、
先日会った人は全然スケールが違う。
彼はアメリカグランドキャニオンで1週間もテントを張って
トレイル(山道)を歩いてまわるのだそうだ。
2年に一回は長期休暇をもらって、
海外でサバイバル生活をこなすという。
40キロの荷物を背負って、毎日40キロ歩く。
テントから見る星空を全部自分のものにしたような気になる。
うらやましいようだが、絶対にマネをしたいとは思わない。
一歩間違えば、死と隣り合わせであるわけだから、
相当な勇気が必要なのだろう。
だが、自然と一体になるという意味では、
都会の喧騒の遥か彼方にいってみるのも悪くない。
彼はこう語った。
「仕事をしていると、(自分の心の)スポンジが一杯いっぱい
になるんです。でも、それを自然の中でギューッと絞ってくる
そうすることで、またスポンジに吸収できるようになるんです」
なんともよくわかる話ではないか。
ぼくだったらこう表現する。
「日々の生活でコツコツと溜まってきた胆石のようなものを
自然の中で溶かして帰ってくること」と。
胆石をそのままにしておくと、大変なことになる。
病気は、なる前にその原因を排除しておくことだ。
胆石は「肝っ玉」と言われる胆嚢にできる。
彼のような肝っ玉があれば胆石はできず、やはりスポンジなのだろう。
スポンジを絞って、また吸収してやろうという前向き、貪欲さがいい。
それが自然に飲み込まれない秘訣なのだろう。
ぼくもいつかはそんなサバイバルな旅に出てみたいものだ。