JFK

実は一人旅を敢行した民宿の一室で、3時間の超大作である
『JFK』という映画を観た。(映画のネタバレがあります)
ジョン・F・ケネディ事件で、真実を追う検察官の物語だ。
この映画はケビン・コスナー演じるその検察官が、
家族と仕事の間で板ばさみになるために、そこの描写が
やや冗長になっている節があった。
ところが、最後のほうにきて、それが物語にいっそうの深みを
与えていて、よくできた映画だった。
JFK事件はテロリストによるものではなく、
クーデターによる暗殺ではないかという話である。
主人公は真実に迫っていく中で、自分の身ばかりか、
家族も危険にさらしてしまうことになる。
身の危険を感じれば、誰もが貝のように口を閉ざしてしまうのが
人の常であるというのに、この検察官はひるまない。
妻や周りの仲間からも愛想をつかされかけるのだが、
それでも真相を究明しようとする勇気はやはり賞賛に値する。
米映画では、裁判で弁護士が最後に大演説をするという場面が
よくあるが、検察官のケビン・コスナーの最後の大演説には
胸に迫るものがあった。
この映画はNHKのBSで放送されたものだ。折りしも、イラク
大量破壊兵器がなかったことが判明して直後だっただけに、
エンドロールの前に流れた「この映画を、真実を求めようとする若者に
捧ぐ」という言葉に考えさせられるものがあった。
JFK事件の真相は、米政府が2029年まで記録を封印してあるので、
それまで明かされることはない。