「あなたは女友達」と彼女は言った

 懇意にしている女友達からそう言われた。
 正確には「あなたは私にとっては女友達だから」と言ったのだ。
 私は生理学上も精神的にも男なので、彼女からすれば、
「あんたは恋愛対象ではないのよ」という意思表示であろうと思われる。
 恋愛関係にはなりっこない、いや、なりたくないんだ、という
固い決意の表れということもできよう。
 世に「異性の友達関係は成立しえるか」論争がある。
 私にも女友達はいる。だが、それは恋愛関係に発展する可能性がある。
「絶対にない」とは言い切れない。
 だから、この点で男友達とは決定的に違っている。
「友達」の定義に、「恋愛関係に発展することがない人」を含むなら、
私には女友達がいないということになる。つまり、みんな「女」なのだ。
 さて、この「女」にそう言われた私がどう思ったか。
 別に何ということはなかった。本当だ。
「絶対にないとは言い切れない」という具合の存在だからかもしれない。
 相手がどう自分を思っていようと、そんなこたぁどうでもいい。
 私が興味を持っているのは、「自分がどうしたいか」ということだけだからだ。