進化の歴史

 私は朝があまり得意ではないので、朝は身体はおろか、頭脳も
混迷の度を極める。
 私は、朝起きてから二足歩行をするまでにかなりの時間を浪費する。
 人間は母親のお腹の中で、十月十日の間、小さな細胞だったころから
細胞分裂を繰り返して、ヒト科の生物に近くなっていく。
 46億年の地球の歴史で、最初に生命が誕生したのは約38億年前
であるらしい。
 最初に現れた生命は、海の中の微生物だったと言われている。
 人間という、おそらく地球上で最も進化したであろう生物が誕生する
までに、それだけの時間が必要なのだ。
 人間は母親のお腹の中で、生物としての進化の過程を、わずか10か月
ほどでたどるのだ。
 これを私の朝に当てはめてみると、目が覚めてから二足歩行を始める
までに20分はゆうにかかるため、類人猿が人間として〝目覚めて〟から
45万年と言われているが、その45万年の進化の過程を、私はわずか
20分ほどでたどっていることになる。
 そのように考えると、朝、目が覚めてから、二足歩行を始めるまでの
時間は、クロマニヨン人だとか北京原人など、原人関係のみなさんたちが
束になってがんばってきた歴史を、私はいとも簡単に、20分間で成し
遂げているということになるのである。