「承」が分厚い本を読め 

「物語の起こりと、結末だけわかればいいので、中盤は不要」

というので、真ん中を斜め読みして本を読む人がいるらしい。

タイパを意識した読み方なのかわからないけど、

実際にそういう人がいるらしいといいうので驚いた。

 

 

私は日本の小説はあまり読まないのだが、ハマったのは

松本清張の本ぐらい。

彼の小説は、悪い人やダメな人もたくさん出てくるが、

そういう人たちにも、理由や事情があるのだということを

読み手にも丹念に伝えてくれる。

「あんだけやられたら、罪を犯すのも無理はない」

という気になってくる。

物語の中盤がそうして丹念に積み上げられているから、

最後の結末が衝撃をもって読める。

起承転結でいえば、「承」がとても分厚い。

子どもたちは小説をよく読んでいるが、そういう本に出会って、

じっくり作品を味わってほしいと思っている。