『レベェナント』を観る

アメリカの開拓時代、いまからだいたい200年ぐらい前の話らしい。
200年前というと、日本でいうと江戸時代。
毛皮ハンターたちが西部の未開地を、先住民たちを蹂躙しながら
横断する。そのガイド役がディカプリオ演じるヒュー・グラス。
先住民との間にもうけた息子がいる。
この主人公ヒュー・グラスは旅先で瀕死の重傷を負い、
仲間に見捨てられ、生死の境をさまよう。
同行していた息子が自分のせいで殺され、
その復讐のためにサバイバルしながら、凍てつく大地をさまよい
ついに息子を殺した男のところまでやってくる……
という映画。
冒頭から暗く陰鬱した雰囲気で、寒い部屋で見ていると少々気が滅入る。
まったく予備知識なかったせいか、どんどん引き込まれていった。
雄大な自然の美しさと、それとは対照的な人間の醜い心が描き出される。
主人公を死の淵からよみがえらせたのは、
息子を殺された怒りだったのか。
愛ゆえの怒りということなのか。
それだけでかろうじて彼は生きている。
復讐のために厳しい自然の中で雄々しく生き抜くグラスの執念は、
狂おしいまでの生を感じさせる。
生きるということは、こういうことだなと思わせるものがある。
この映画によってディカプリオはアカデミー賞の主演男優賞を
受賞したのだそうだ。
この男、鬼気迫る人物を演じさせたら右に出るものなし。
次はどんな役で驚かせてくれるか楽しみだ。