日本人にとっての城

最近、お城の在り方が見直されているようだ。

名古屋城は木造での再建が画策されている。

福井でも本丸に県庁が建っているが、

移転が計画されているという。

とにかく、日本人のお城への思い入れというのは

大変なものがあり、地域の人にとっては単なるランドマークの

域を超えて、誇りであり、アイデンティティの源と

言えるほどのものである。

とくに現存店主を持つ城は高い価値が認められている。

私は天守にはこだわらない。

埋もれた古城もそれはそれで時の流れを感じさせておもしろい。

江戸城のように、再建されないからこそいいという城もある。

江戸城が再建されなかったのは、江戸時代の権力者だった

保科正之が軍事施設であり、幕府の威容を示すだけの城よりも

民の生活向上に資するべきとの考えを主張したからだ。

天守のない江戸城こそ、平和を象徴する遺構であるわけだ。

このように、城はそこにあればいいというものではない。

城がその後、どのように扱われてきたか、歴史を学ぶもの

でもあるというのが私の考えだ。

各地で城を再建しようとする人々の話し合いの推移を

見守っていきたい。