倹約ばっかりだった時代

いま歴史本をつくっていて、主に江戸時代を担当している。
江戸時代は260年の平和な時代が続くのだけど、
必ずしも庶民の生活は泰平ではなかった。
3代将軍家光のころから幕末に至るまでずっと財政が逼迫、
田沼意次松平定信重臣が改革にあたるんだけど、
そのどれもが倹約なんだよね。
もう倹約、倹約、倹約の嵐です。
いまも昔も変わらんなあ〜と思っていたら、違いがあった。
為政者が自ら倹約してたってことだ。
粗末な木綿の着物を着て・・・
おかずを1品減らし・・・
粥を食べていた・・・
といった記述がわんさかでてくる。
どこやらの国の政治家も知ってる話のはずだけど、
やってる人を見たことがない。
「隗よりはじめよ」という中国の故事があるが、
江戸時代の為政者たちの学問といったら中国の古典を学ぶ
ことだったから、心身にこの精神が叩き込まれていたんだね。
伊能忠敬のように商人でもうけた人もいたかもしれないけど、
多くは質素に暮らしていたわけだ。
そう考えると、金が飛び交い、物が溢れ、食べものを大量に
捨てるようになったのは、ほんのつい最近だってことがわかる。
だから今、節約、節約ってみんながいうのは当たり前なんだと思う。
それにしても「言い出したものがやれ」っていうのは
なんとも含蓄のある言葉だなあ。