風物詩

毎年この時期になると、帰省客が駅や空港で取材されている。
インタビューに答える子どもはだいたい元気よく、
楽しそうに答えるが、大人はだいたい
「8時間かかりました。もうぐったりです」
といっている。
この対比がなければ、お盆ではないともいいたげだ。
もう夏の風物詩といってもいい。
私がインタビューされたら、
「いやー、40キロ渋滞しましたけど、快適でした。
ええ、全然疲れてません。ぴんぴんしています」
と言ってやろうと思う。
これなら絶対に使われないだろう。
インタビュアーの苦々しい顔が目に浮かぶ。
高速道路の渋滞の取材ほど嫌なものはない。
台風の取材で風雨の中に立つなら、
「これで避難する人がひとりでも増えてくれたら、
オレの苦労も浮かばれる」
と思うことができる。
しかし、渋滞取材はそんなことはない。
あれを見ても、自分の人生には何も生かせない。
まあ、あんな渋滞になる日に運転しないから
インタビューもされないだろうが。