「持って帰ります?」

あれはどういう了見なのか、
一度、担当者を問い詰めたいと思っている。
よく手術とかで、切り取ったものを見せて、
「持って帰りますか?」というアレだ。
私もなんだったか、切り取ったものを
「持って帰ります?」と聞かれた体験がある。
たぶん、イボ痔のときではなかったか。
イボをレーザーで切除するのだ。
熱いやら痛いやらの貴重な経験をした。
そのイボを持って帰るか、というのだ。
「ヘソの緒じゃないんだから」という言葉を飲み込んで、
「廃棄で」と確か言ったのだと思う。
切り取ったイボ痔を後生大事に箪笥の奥にしまっていたら、
とんだサイコ野郎だと思う。
先日、父が前立腺肥大で、肥大した部分を切り取る手術をした
らしく、母がその切り取った残骸の写真を送ってくれた。
「これ見て、ワシ、どうせいちゅうねん!」と思った。
兄にも送ったらしく、けげんな兄が返信すると、母は
「こんなのなかなか見られないよ」と返すと、
「一生見られなくても悔いはありません!」
というメールが帰ってきたというので、笑った。
なかなかトンチの効いた返しだ。
確かにね、今際の際になって、
「この際だから、前立腺肥大の削ったやつ、見たかったなあ〜」って
なるわけないもんね。
医者としては、全身麻酔などで人体の一部を切除したときには、
証拠の品として見せるようにしているんだろうね。
まあ、それが別人のものである可能性もあると思うんだけど。
どっちにしても、ああいうのは、気持ちのいいもんではないね。