「永遠のゼロ」

岡田准一主演のベストセラー小説の映画化。
原作者の百田直樹氏は、エンターテイメント性の高い小説を
書くことで知られているが、彼はミステリーの要素が必要と
何かで語っていたのを読んだことがある。
この「永遠のゼロ」でも岡田氏演じる宮部というゼロ戦搭乗員が
臆病であったかどうかを、孫が戦友たちに会って解き明かしていく
という、ミステリー仕立てになっている。
小説はその構成が非常に巧みで一気に読ませる内容になっている。
映画でも忠実にそのあたりを踏襲しており、
大変わかりやすい佳作に仕上がっていた。
2時間半と長いのだが、それを感じさせない構成力があった。
岡田氏の周囲を固めるベテラン俳優、若手俳優もみななかなかの演技で
久しぶりに邦画を見たが、捨てたもんじゃないと思った。
登場人物がいみじくも「こんな話は特別じゃない」といった。
その通りのはずで、この映画の宮部はすご腕のパイロットだったが、
何事も成し遂げられずに、懸命に20年ぐらい
生きてあっさり死んでいった無数の命があった。
普通の戦争映画で一番最初に死ぬ兵隊にも物語があった。
今度はそんな戦争映画も見てみたいものだ。