緑が大切なわけ

以前、つくった本で理科教育の立場から、環境問題を解説して
くださった先生がいました。
その先生は環境問題は光合成の理解が根底にあるべき
というのが持論でした。
「緑を大切に」といいますが、なぜなのでしょう。
それを地球温暖化以外の言い方で説明できる人は多くないと思います。
光合成は、植物が二酸化炭素と水を使って、酸素とでんぷんをつくる
働きのことです。つまりこうです。


二酸化炭素+水→(光エネルギーの吸収)→酸素+でんぷん


このとき植物の葉緑素というものが、光エネルギーを使って
太陽のエネルギーをでんぷんに蓄えているのです。
でんぷんはお米の主成分です。
この栄養素を私たちは食べて、胃腸で分解したものを血液を使って
体をつくる細胞に供給し、体を動かしているのです。
そして、細胞が動くには酸素が必要で、これを肺で取り込んでいます。
すると、こういう反応が起こります。


酸素+でんぷん→(エネルギーの放出)→二酸化炭素+水


でんぷんに蓄えた太陽エネルギーが放出されて、そのエネルギーが
放出されることで、私たちは生きていると言えるわけです。
植物が光合成という能力をもっているから、わたしたちは生きているわけです。
ですから、人間が光合成という能力をもたない限り、
植物がなくなると、人間が生きていけなくなるのです。
だから「緑が大切」なのです。
緑は他の生物のためでもなんでもない、人間のために必要なのですね。
環境問題では、野生動物の住処がなくなってかわいそうだ、などと
情緒的なことを言っていないで、人間がやがて生きていけなくなるから
環境を保護しようと言わないといけない。
でもそれは「人間は傲慢な存在」という刷り込みがあるから
言えないのですよね。
環境問題を堂々と「人間のため」と言えるようになるといいね。