「ベンジャミン・バトン」

久しぶりの映画である。
かつて1年に150本も見たことがあったが、
いまは年に15本も見ない。
面白い映画がないという理由もある。
最近、ディカプリオ以来、大物俳優が出てこない。
どうしたものか。
いつまでもディカプリオとブラピに頼ってばかりもいられまい。
ということで、ブラピ映画である。
「ベンジャミン・バトン」は、年老いた容姿で生まれ、
長じるにつれて若々しい肉体を得ていく主人公が
出会いと別れを繰り返す物語だ。
この映画はやっぱりちょっと無理があった。
人間の一生は小さく生まれ、体が大きくなって死ぬ。
でも、この映画の主人公バトンは、体は小さく生まれ、
最後にまた小さくなって死ぬ。
最初はしわくちゃのおじいさんの容姿で生まれるが、
体は赤ちゃんの大きさだ。
これを本当に逆の成長を辿るかたちにするなら、
170センチぐらいのおじいさんで生まれる必要がある。
最初から無理があるのを度外視して見てみると、
それでもやっぱりもっと「心と体のギャップ」について
主人公が葛藤する様子を描いてほしかった。
そこに人間の生と死、人生が深く描けるはずだからだ。
個人的には、バトンが幼少期になり、認知症のような
症状をみせるところを重点的に描いた、
バトンの最後の10年間を映画化してほしい。
老いというものに深く迫れる映画になるに違いない。